電気工事の配線は基本的な作業、最初に建物の電気工事を行ったときにほとんどが作り上げられます。
その後に別の工事を入れて配線を変えたくなったときにトラブルが起こらないようにするには何に気をつけた方が良いのでしょうか。
配線の色分けに関する習慣から、電気工事の依頼先としてどこを選ぶのが安全策かを考えてみましょう。
目次
1.配線には様々な線の色分けが行われる
電気工事をするときに重要になるのが配線で、配線に手を触れるときには電気工事士の資格が必要になるのが原則です。少しミスをするだけで大きな事故になり得るのが配線の特徴なので、資格を持っている人以外が配線の変更をする国による処罰の対象となります。
そのため、配線を変更するような電気工事を必要とするときには業者に依頼することになるのが一般的です。このときに知っておきたいのが配線の色分けに関することです。電気配線を見てみると様々な色の線が使用されています。これには意味があり、電気工事をするときにどの線が何を意味しているかを一目でわかるようにしているのです。
典型的なのが単相の場合で厳密なルールがある色が三種類あります。
白色・・・Nとしばしば呼ばれ、Neutralを意味している色です。接地側に対して用いられています。
黒色・・・Lとされ、Liveを意味している色です。これは電圧にして100Vの部分を示していて非接地側に相当しています。
緑色・・・Earthを意味するEと略される色です。これはアースを取っている部分で保護接地面とも呼ばれるものです。
このような厳密なルールが全てのケースで存在していれば良いのですが、実際にはもっと複雑な電気回路を扱うのでルール化することが困難になっています。
弱電系を利用するときには全体として暖色はプラス、寒色はマイナスにするという傾向がありますが、どの業者でも厳密にそれに従っているわけではありません。さらに厄介なのが例えばVCTF電線のように16芯もあるような電線を使って配線するとなるとどれを何に対応させるかをルール化するのは基本的には不可能です。
同じタイプの電線でもメーカーによって色分けの仕方が違う場合もあるのでなかなか統一した形で色と機能の一対一対応をさせることはできません。このような事情を知っておくと、いざ電気工事を業者に依頼したいと考えたときに役に立ちます。
2.電気工事を依頼するなら同じ業者へ
電気工事を依頼するときにはできるだけ安い業者を選ぼうと考えてしまいがちですが、基本的には今の配線を行った業者に依頼するのが安全策です。
色使いは同じ業者では統一して行っていることが多いため、同じ業者に依頼すると配線を速やかに正しく理解して、適切な形で配線し直してもらえます。電気工事士は限られた時間で仕事をしなければならないことから、反射的に自分が慣れている色使いで線の役割を理解して配線してしまうことがあります。
そのため、異なる色分けをしている業者に配線工事を依頼したために、正しくない配線になってしまうというリスクが生じるのです。それが直接事故の発生につながらないようにテストをしてくれるのが一般的ですが、何らかのトラブルが発生して発火でも起こそうものなら大事になってしまいかねません。
配線ミスがわかったときにもどこが問題だったのかを電気工事士が理解するのに時間がかかってしまいやすいので、工事時間も長くなりがちです。このような点から考えると、極力同じ業者に電気工事を依頼するのが無難と言えます。
3.将来的なことを考えて要求しておくべきもの
電気工事を依頼しようとしたけれど、今の配線をしてくれた業者が既に倒産してしまっているということも起こり得ます。あるいはあまりに工事費用が高いので他の業者に依頼したいという場合もあるでしょう。
このようなときに対応できるように、最初の配線をしてもらった業者には配線図を用意してもらうだけでなく、色と機能の対応表を用意してもらっておくのが賢明です。
配線図に付属している場合もありますが、見れば読み解けるからあえて対応表は作成していないということもあります。しかし、この表があるだけで他の電気工事士が仕事をしやすくなるだけでなく、ミスも減らすことが可能です。
既に配線を終えてもらった後であっても業者に依頼すれば作成してもらえることがあるので、施工完了時に受け取った資料を見返して対応表がないときには要求しておきましょう。
4.まとめ
電気工事で配線をするときには様々な色の線を使いますが、必ずしも色分けには厳密なルールがあるわけではありません。他の業者が誤解をしてしまうとミスをするリスクがあるため、できるだけ同じ業者に配線工事を依頼するのが賢明です。
将来的に他の業者に依頼したいという状況が生じることも考慮して、色と機能の対応表は必ず手に入れておきましょう。