電気工事を行うときには配線の全体像をよく意識して設計することが大切です。
既に配線されている物件を賃貸するときにもどのようなレイアウトになっているかを確認しておきましょう。
電気工事として壁にスイッチを付けたいということはよくありますが、配線がどのようになっているかでかなり工事のしやすさに違いが生じるので注意が必要です。
目次
1.配線の影響を受ける壁にスイッチを増やす工事
オフィス物件を借りて電気工事を行うときには配線を最初に各種電気器具の配置を決定するだけでなく、コンセントやスイッチの位置を決めることになります。それに合わせて電気工事会社のプロに配線の仕方を考えてもらうという段取りで打ち合わせを進めるのが一般的です。
このときにコストを削減しようと配線を最小限にすることがよくあります。電気の配線は基本的に距離が短いほど安くなる仕組みになっているので、最短経路で全てを接続できるようにするとコストを抑えることが可能です。
また、コンセントやスイッチは一つあたりでコストがかかるため、必要最小限の数にすることでオフィスの用意にかかるコストを削減しようとすることもよくあります。しかし、それが原因でやはりスイッチが別のところにもあった方が良かったと考えて電気工事を依頼したときに費用負担が大きくなったり、大きな工事が必要になったりすることもあるので注意が必要です。
将来的な対応力を高くするためには配線は天井か床を伝うようにするのが基本です。すると必要な壁や柱に垂直に配線を下ろしてきてコンセントやスイッチを設置することができます。
しかし、配線コストを下げようとすると必ずしも網羅的にあらゆる壁や柱に配線が通っている状態で仕上げてくれているとは限りません。新たにスイッチが欲しいと思うようなところは配線されているところとは遠い場合が多く、近くに配線が通っていないことがほとんどです。
その壁にスイッチを取り付けるには遠い場所で分岐を作り、さらに長い配線を設置しなければならなくなります。設置場所の周囲だけでなく、分岐を作る場所からスイッチの設置場所に至るまでの広い範囲での工事が必要になるため、コストも上がって時間もかかってしまいがちです。
後々になってからこのような大変な状況にならないようにするために、将来的に対応しやすい形で最初の配線を行っておくのが大切です。オフィス設計の時点で網羅的に天井に配線を張り巡らせておき、必要に応じて簡単な工事でコンセントやスイッチを取り付けられるようにしておきましょう。あるいは最初から少し多めにコンセントやスイッチを取り付けておくのも良い方法です。
2.壁にスイッチを増やすときの注意点
これから電気工事をして壁にスイッチを増やしたいというときには注意点があります。もともと配線されているオフィスにスイッチを増やす場合には最初に配線をした業者に依頼するのが賢明です。
配線図があればプロなら対応することはできますが、配線の色使いなどには業者ごとに慣習があるので同じ業者に依頼しておいた方が失敗がなく、工事も短時間で終わります。
また、スイッチを設置した方が使い勝手が良いと思っていたら、かえって面倒なことになってしまうという事例もあるので、本当に設置場所がそこで良いかを確認しておきましょう。壁にスイッチを取り付けると、そこにものは置けなくなります。オフィス什器を導入したら隠れてしまうというような場所には設置しないようにしなければなりません。
少しスイッチが高い位置にするだけで、背が低いオフィス家具なら置けるようになります。あまりに高い場所では使い勝手が悪くなりますが、将来的なその壁周辺の使い方も考慮してスイッチの位置を決めるようにしましょう。
もう一つ気にかけておきたいのが配線工事には資格が必要だということです。
電気工事士の資格がないとスイッチの配線を行うことはできません。配線図を見ると近くに配線が来ているから自分でもできると思ってしまうことがありますが、下手な配線をするとショートして発火する恐れもあります。
多少のコストがかかるのは覚悟して業者に依頼するのが大切です。どうしても自分で行いたいという場合には電気工事士の資格を取得すれば問題はありません。あるいは資格を持っている人を従業員として雇って配線してもらうという方法もあるので、将来的に必要性が高いと考えたら人材採用の時点で検討してみましょう。
3.まとめ
オフィス設計をするときには将来的な可変性を考慮して配線をしておくのが大切です。電気工事をして壁のスイッチを増やしたいというときに柔軟に対応できるように天井に網羅的な形で配線しておくと簡単な工事で対応できます。
また、スイッチを増やすときにはその周辺の将来的な使い方を考えて場所を決め、業者に依頼して設置してもらうのが重要です。