電気工事は配線図を元に行われます。これはどのように電線が走っているのか、どこで電気を使うことができるのか示すための図面です。
配線図を読み解くことができれば、実際の使い勝手や距離感を掴むことができます。
とはいえ、配線図に使われている記号は、素人に取っては見慣れないものばかり。ここでは基本的な配線図の読み方を解説しています。
目次
1.配線図で使われる基本的な記号
まずは配線図で使われる記号の中から、特に重要になるスイッチ、コンセント、照明の記号をチェックしてみましょう。
スイッチ
-
- 単極スイッチ<黒丸>
単にオンオフを担う単純なスイッチのことを単極スイッチと言います。黒丸印で表され、ここに様々な添え字を付けることでそのスイッチの機能を表します。
-
- ホタルスイッチ(位置表示灯内臓スイッチ)<H>
スイッチにランプが内蔵されており、照明が消えているときにランプが点灯し、スイッチの場所を教えてくれます。スイッチの場所が分かりにくい広い部屋や、廊下などでよく使われる種類です。
-
- パイロットスイッチ(確認表示灯内臓スイッチ)<L>
ホタルスイッチと同じく、スイッチにランプが内蔵されています。ランプのオンオフがホタルスイッチとは逆になっており、照明が消えるとランプも消灯します。
照明とスイッチが違う場所にある玄関ポーチや門灯で使われることが多く、スイッチのランプを見れば照明の状況を把握することができます。
-
- 3路スイッチ<3>
1つの照明器具に対して2つのスイッチを設置し、それぞれのスイッチで照明を操作できるようにしたものです。イメージとしては階段の照明が適しているでしょう。1階で照明を点け、2階で消すことができます。また、広い部屋に設置すれば、照明を点けるための移動距離を縮めることもできます。
スイッチが3つになると「4路スイッチ」となり、添え字は<4>となります。
コンセント
一般的なコンセントは丸記号の下半分が黒塗り、上半分に縦線2本という記号で表されます。スイッチと同じく、ここに添え字を付けることでコンセントの機能を表しています。
-
- 2口コンセント<2>
最も一般的なタイプで、差込口が2つ付いているタイプです。差込口が3つになると「3口コンセント」となり、添え字は<3>になります。
-
- アース付きコンセント(接地極付コンセント)<E>
アース(接地極)は安全装置のことで、電気を地面に逃がすことで感電や火災の危険を防ぐことができます。漏電を起こしやすい家電である洗濯機や電子レンジを設置する洗面所やキッチン、水を使用するトイレなどに採用されることが多いコンセントです。
-
- 防水コンセント(防雨型コンセント)<WP>
防水措置を施したタイプです。外壁に設置することが多くなります。
-
- エアコンコンセント<AC>
消費電力が大きいエアコンは他の家電との併用が難しいため、専用の回路を予め設計しておくことになります。
-
- 床コンセント<丸印に縦線2本、下に黒三角>
壁ではなく床にコンセントを設置することもあります。様々な形状があるため、使用目的はもちろん見た目にもこだわって製品を選ぶことが可能です。
照明
照明の種類は丸記号の中に文字を入れることで表します。
-
- シーリングライト<CL>
居室や事務所などでは最も一般的なタイプで、天井面に取り付けて部屋全体を照らします。
-
- ダウンライト<DL>
天井に埋め込んで使うタイプの照明の内、小型のものを指します。
-
- ペンダントライト<横線>
チェーンやコードなどで天井からつりさげた照明のことです。商品自体に高さ調節機能が付いているものと、市販のコードリールなどを取り付けて高さ調節を行うものがあります。
2.配線図を見て確認しておきたいこと
配線図を見ることができると、実際の使い勝手をイメージすることが可能です。例えば広い部屋の場合、照明1つに対していくつスイッチを付けるか、場所はどうするのかという点を考えると、生活動線や空間の使い方を決めることができます。
電気工事をスタートする前に、実際に使う家具や家電、扉の開閉などを配線図に書き込んでおくことも重要です。こうすることで必然的に照明やスイッチが必要な場所が分かるようになります。
配線図は平面で書かれているので、高さの情報を読み取ることができません。特にスイッチやコンセントは、高さも非常に重要な要素になってきます。配線図で場所が決まったら、展開図を見て高さの確認をすることが重要です。
3.まとめ
ぱっと見るだけではなかなか理解できない配線図ですが、基本的な記号を理解することができれば、読み解くことはさほど難しくありません。配線図には生活の快適さを左右する需要な情報が詰まっています。
実際に電気工事を始めてからでは変更が利かないので、プランニングの段階で確認しておくことが大切です。配線図を見比べて理解を深める他、分からないことがあれば積極的に相談してみましょう。